日本人への英語講師歴18年、6か国語を話す言語学の専門家Erikが、従来の英語教育のリアルな問題点と本当に必要な英語学習について、包み隠さずお伝えします。ネイティブと本気で話せる実質的な英語力を身につけたい方はまずはここから。
目次
辞書には使い方がある?
和英辞書=直訳
英英辞書も直訳と変わらない…?
英単語の使用例が教えてくれること
単語の意味から使い方は分からない
まとめ
使ってもいい、使ってはいけない辞書がある
辞書とは単語の意味を調べるためにあると思っている方、手を上げましょう。
やっぱりそう思ってるか。
では今回は、なぜその考え方が間違ってるか、という話をしましょう。
まずは和英辞典の話から。
和英辞典とは、直訳の世界ですよね。
つまり「これって英語でなんて言えばいい?」「どういう意味?」の世界ですよね。
直訳の話は以前の記事にも登場したことがありますので、まだ読んでない方はこちらでご覧ください。
結論を言うと、どんな日本語表現でも、それと完全に一致した英語表現は存在しない、という内容でした。
したがって、日本語の「英訳」は存在しないため、そもそも勉強の仕方として間違ってる、ということです。
しかし英英辞書だと日本語を使わないし、英語を英語で読むから勉強になる。
だから英英辞書を使って勉強すればいい、という風に勧めてくるスクール・英語サイトがたくさんあります。
しかし本当にいいのでしょうか。
答えはもちろん… よくない。
具体的にどこがよくないのかを一緒に考えましょう。
まずは生徒がこないだの授業で使った英語から見ていきましょう。
I’m starting a new job from tomorrow.
意味は「明日から新しい仕事を始める」のつもりでした。
さて、一見この英語は正しく見えるけど、気になるfromという表現があります。
このfromを和英辞書で調べると、「時間などの起点」が意味で、「〜から」がその日本語訳とされています。
ということで、和英辞書によると I’m starting a new job from tomorrow は正しい表現になります。
次は英英辞書で調べましょう。
定義は下記の通りです。
When something starts
意味は「物事の起点」で、和英辞書で調べた時の意味とほぼ一緒。
したがって、結果は和英辞書で調べた時と変わらず 「I’m starting a new job from tomorrow= 明日から新しい仕事を始める」は正しいはず、という判断になります。
では本当に正しいのでしょうか。
その答えは、同じ英英辞書に登場する使用例からわかります。
今から一緒に見ていきましょう。
まずは英英辞書に登場する from の使用例を見ていきましょう。
分かりやすいものをいくつか下にまとめました。
・She works from morning to night to provide for her children. (子供を養うために朝から晩まで働いている)
・I was only there from 11:30 to 1:00 o’clock. (11時半から1時までしかいなかった)
・He’ll be here tomorrow from seven o’clock onwards. (明日の七時からしばらくいる)
みなさん、お気づきになりました?
注目点は、from からの続き方です。
具体的に言うと、from の次に「時点」ではなく必ず「範囲」が入っています!
つまり始まる時だけではなく、終わる時まで書いてあります(onwardsの場合はその終わる時が未定ですが、確実に「範囲」を表しています)。
さて、from のこの特徴は定義から分かるものですか?
絶対分かりませんよね。
「時間などの起点」「〜から」という意味なら、I’m starting a new job from tomorrow は全然ありのはずです。
ここが今日の重要なポイントです。
使うのが和英辞書であろうが、英英辞書であろうが、辞書を単語の意味だけを調べる道具と見た時点でアウトです。
ネイティブの実際に使ってる英語に気付こうともせずに、ひたすら単語の意味に基づいて自己流の使い方をしてしまうからです。
だから単語の意味を知っていても正しい使い方には繋がらず、ネイティブとは会話が噛み合わない。
これが日本人の英語です。
I’m starting a new job from tomorrow に戻りましょう。
辞書で from を調べました。
定義によると、上記の英語は正しいはずです。
しかし使用例を分析すると、正しくないことが分かります。
具体的には、fromの次に「時点」が付く例文がなく、「範囲」が付くものしかない。
要するに、辞書は使い方が大事、ということですね。
定義というものには安心感があるかもしれないけど、直訳のようなもので頼ってはいけません。
あてにすべきなのは使用例の方です。
使用例を読んで分析することが大事、というのがここまでの話ですが、使用例にも頼ってはいけないものがあるので、情報源を大事にしたいものです。
英語学習においては、使える辞書と使えない辞書があります。
ほとんどの和英辞書は、例文は日本人向けに作られたわざとらしいものばかりで参考になりません。
一方アルクの英辞郎などは翻訳データベースを利用するので、実際にネイティブの使い方なのかが分からない。
また、例文の一部しか出ない場合が多く、全体が見えないため上記のような分析をするのが不可能だったりします。
さらに、英英辞書でも例文の載せ方にばらつきがあります。
ものによっては和英辞書のように、でっち上げられた使用例ばかりが出てきます。
正しい使用例は、翻訳ではなく完全にネイティブ英語のデータベースから出てきたものです。
オススメの辞書はこちらからオンラインで利用できます
辞書の正しい使い方、情報源の大切さ、自らの英語判断力と習得力、これらをテーマにしたのがリーフ英会話スクールの授業です。グループレッスンもマンツーマンも、オンラインで全国対応しています。興味のある方はこちらからお問い合わせください。